その名はポスト、仕事は運び屋
〜A-BEAT-Cシリーズ VOL.9〜
「? 何そこでコソコソしてるわけ?」
K.J.WAINWRIGHTは、今日の分のレコーディングを終え、さて帰ろうか……と
思っていた矢先、ロビーへと続く廊下で、こっそりロビーを覗いている
レーベルメイト・E.GOBBIを見つけたのである。――某日、A-BEAT-Cのスタジオにて。
「シッ! 静かに!」
そう言うと、GOBBIはWAINWRIGHTを引っ張り、壁際に張り付かせた。
「ちょっ――なんなのよ、一体」
「ほら、あれ見て」
GOBBIの視線の先には、ロビーで談笑している2人のレーベルメイト。
「DENISEとNEOじゃない。――別に、休憩中に喋るくらい」
「KIKIはおかしいと思わないの、あの様子」
「特に、おかしいようには……見えないけど」
「あれだけ楽しそうに話してるんだもの、きっと凄い内容の話をしてるに違いないわ!」
「最近凄いわよね、NEOは。日本のクラブシーンでも人気高いみたい」
「そうなのかな? いや、それだったら嬉しいけど」
「ファンの間では、ポストDAVEとも呼ばれてるみたいよ」
「ハハ、よしてくれよ、僕なんてDAVEに比べたら。――まあ、そういう話があるのなら、光栄だね」
「名義ももっと、立派なのにしてみたら?」
「そうか……NEOのパワーアップだから、ネオ・NEOってところかな?」
「――変よね、ネオNEOって。止めてきたほうがいいかしら?」
「いや止めるも変も何も、ELENAの勝手な想像じゃないのよ」
「もしも私だったら……VIRGINELLE
MK-II!?
全然VIRGINでもなんでもなくなるじゃない!!」
「だから、その名義をパワーアップさせる理由がわからないんだけど」
GOBBIに慣れているWAINWRIGHTは、冷静さを無くさなかった。
「最終的に生まれるのは量産型LOLITA……ああ、もう私の時代も終わりね……」
GOBBIはがっくりとうなだれた。――WAINWRIGHTが軽くため息をつく。
「――私、もう帰るから」
「あっ、私も今日はもう終わりだから、ちょっと待ってて!
駅前にね、新しいケーキ屋が出来たみたいなの! 寄っていきましょ」
そう言うと、GOBBIは小走りでその場を一旦去った。
「凄い変わり様……どこまで本気で心配してるのかしら」
WAINWRIGHTは、GOBBIの背中を見ながら、そう呟いた。
「あっ、KIKI! もう今日は帰り?」
声のした方に視線を向けると、DAVEの息子・フェデリコがこちらへ向かってきていた。
「ええ、そう。今はELENA待ち」
「そっか。――あそうだ、NEOって何処にいるか、知らない?」
「NEO? ああ、さっきまでそこでDENISEとお喋りしてたわよ。――ま、実際ポストDAVEの
話をしていたかどうかまではわからないけど」
WAINWRIGHTが苦笑するのを、フェデリコが疑問顔で見た。
「あ、ごめん、こっちの話だから、気にしないで」
GOBBIのくだらない妄想話を、無駄に広げても仕方がない、とWAINWRIGHTが思ったその時だった。
「お待たせ、KIKI」
GOBBIが、小走りでKIKIの元へやってきた。
「それじゃね、フェデリコ」
「うん、また今度」
「お、フェデリコ、お前DENISEを見なかったか?」
フェデリコは、NEOを探している途中で、A.CONTINIに呼び止められた。
「NUAGE? NUAGEなら、さっきまでNEOと、ポストの話をしてたみたい」
「――は? ポスト?」
「うん、KIKIがそう言ってた」
「――まあ、それはどうでもいいけど。で、場所はわからないんだよな?」
「あ、うん、ゴメン。僕もNEOを探してるんだけどさ」
「ああALBERT、NEOを見なかったか?」
しばらくすると、今度はCONTINIが、S.OLIVAに呼び止められる。
「NEO……確かさっきフェデリコが何か言ってたな……
今頃、郵便物でも運んでるんじゃないか?」
「――何? 郵便物を……運んでる……?」
「そんなようなこと、フェデリコが言ってたぞ。ポストの回収が主な仕事だとか」
「――DAVE、ちょっと話があるんだが」
OLIVAは、偶々廊下で居合わせた、DAVEに話を切り出した。
「どうした? やけに真剣な面持ちで」
「NEOが、郵便局で働いてるって、知ってたか?」
「は……? 郵便局で、働いてる……?」
流石のDAVEも、一瞬訳がわからなかったようで、驚きを隠せなかった。――OLIVAが続ける。
「何でも、郵送のバイトをしてるらしいぞ。ポストの郵便物を運んでるらしい」
「僕は……初耳だな」
「DAVEもか……妙な話だと思わないか?」
「そうだな。――EUROBEAT
ARTISTは二足の草鞋を履いている、というのはよくある話だ。
だから別に、説明してくれれば、僕としてもそれを拒んだり禁止したりするつもりはないが」
「NEOは、内緒で働いてるってことになるよな」
「ああ。特別な事情があるのかもしれないが……ちょっと、気になるな」
「誰か親しい仲間には、話してるかもしれないな」
「うん。――ああ、ちょうどいい、ちょっと聞いて見るか」
DAVEの視線の先には、偶々通りかかったであろう、MANUELの姿があった。
DAVEが、笑顔で話しかける。
「やあポスト、元気か?」
「待ていぃぃぃぃぃDAVE!! お前真面目に聞く気あるか!? それはMANUELだ!!」
「ああそうかそうか。――で、どうなんだ? 運び屋の仕事は」
「うおおおぉぉぉぃぃぃ!!! だからそれはMANUELの話じゃないだろう!!
しかも運び屋って、何かニュアンスが違ってくる!! 怪しさ爆発じゃないか!!」
「安心してくれ、ギリギリで法には引っかからない」
「だから話が違ってきてるって言ってるだろうがぁぁぁ!!」
――俺の名前はMANUEL(名義)。
経緯はさっぱりわからないが、今日プロデューサーに
ポストという名前にされ、更には怪しい運び屋にされる男だ……
------------(フィクションです)------------
当時のA-BEAT
Cキャラ、オールスターズによる大共演ミニコント(笑)。
ネタの内容はともかく、意外な展開だったのではないでしょうか。
頭はKIKI &
GOBBIのボケで多少攻めておいて、
ラストのボケでDAVE &
SANDRO、オチはMANUELという
豊富な人材を揃えた(爆)A-BEAT-Cだからこそ出来る応用テクニックを披露してみました。
おかげさまで無駄に長いです(笑)。
BACK