A-BEAT-C、ライター事情
〜A-BEAT-Cシリーズ、VOL.2〜
「あ、いたいた! SANDROーっ!」
その声に、スタジオの廊下を歩いていたS.OLIVAと横にいたF.CONTINIが振り向く。
「あら、フェデリコじゃない」
廊下を駆けてくるのは、DAVEの息子――F.PASQUINIだった。
「あ、横にいたのはNORMAだったんだ。やけに綺麗な人と一緒にいるな、と思ったんだ」
「あなたはまだお世辞はいいのよ」
CONTINIが苦笑する。
「でも、パパが女の人はとりあえず誉めておけって」
「ハハハ、DAVEらしいな。――それで、どうしたんだ? 今日はレコーディングじゃないだろ?」
「うん。――SANDROに、詩の書き方を教えてもらえないかと思って」
「作詞の方法をかい?」
「パパが言うには、色々な人に教わって、勉強したほうがいいって。それでさっきKIKIに会ったから
聞いてみたら、自分よりもSANDROがいいって」
「あらあら、何もSANDROからは作詞しか学べないってわけじゃないわよ」
CONTINIが、意味深な笑顔を見せる。
「え? じゃあSANDROもパパと同じで、女性の扱いが上手いのかい?」
OLIVAがその場で滑りこけそうになる。
「そ、そうじゃなくて、SANDROは作曲家としても教授願える人、ってこと」
「そうなの!?」
「たとえば……ほら、「LET'S
GO, COME ON /
MANUEL」ってあったじゃない?
あの曲の作曲は、彼1人よ。DAVEは関わってないわ」
「まあ、作詞までは手が回らなかったから、ここにいるNORMAに全部お任せしちゃったけどね」
「へー、あの曲の作詞はNORMA1人でやったんだ! 僕あの歌詞大好きなんだよ!」
再びOLIVAが滑りこけそうになる。――感動する箇所が違う。
「どうしたのSANDRO、大丈夫かい?」
「あ、いや……多分大丈夫。……それで、作詞の方法だっけか?」
「そう! 時間のある時で構わないからさ」
「でもフェデリコ、あなたもう以前から自分で作詞してたじゃないの。どうして急に誰かに教わろうなんて」
「そうなんだけど……他の人をけなすわけじゃないんだけど、僕はもっと本格的なライターを目指したいんだ。
最近はみんな結構自分の曲は自分で作詞してるよね? NORMAやKIKIは結構前からだけど、
ELENAもこの前やってたし、それにママもこの間やってたしね」
OLIVAとCONTINIがドキッとする。”ママ”。彼のママは、もう――
「――ママは、どんな詩を書いてた?」
動揺を悟られないように、CONTINIが笑顔で語りかける。
「どんなの、ってまだママが作詞した曲は1曲しかないよ。この間の「I
FEEL FINE / NUAGE」ってやつ」
OLIVAとCONTINIは顔を見合わせた。――「I FEEL FINE /
NUAGE」?
「SANDRO、あの曲に……その、彼女は参加してたの?」
「いや……僕は参加したんだけど、あの曲はDAVEと僕とMILANIとあとDENISE本人の4人で……
って、まさかフェデリコ、キミのママってのは――」
「まさかも何も、僕のママは、ヌ――」
「うおおおおぃ!! 何を言いだすんだフェデリコ!!
いいか、落ち着け!! 落ち着いて考えるんだ!!
一度ゆっくり深呼吸して落ち着くんだ!! こういう時パニックになったら駄目だ!!」
「ちょっ、あなたが落ち着きなさいよSANDRO!!」
CONTINIが必死にSANDROをなだめる。
「いいかフェデリコ、もしそれが事実だとするとキミとキミのママは10歳しか歳が離れてないことになる。
人間の構造としてそんなことはありえないんだ!」
「そういう問題じゃないでしょう!?」
――しばらくSANDROが叫んでいるのをCONTINIがなだめていると、
フェデリコが近づいてくる足音に気が付いた。
「――あ、パパ!」
足音は、問題を浮上させた張本人だった。
「フェデリコ。こんなところでNORMAとSANDROと何してるんだ?」
「うん、SANDROに作詞の方法を教えてもらってたんだ。
凄い勉強になったよ!!」
「うおおおぃフェデリコ!! まだ何も教えてないだろうが!!」
「もういいから、ちょっと向こう行きましょ、ね?」
CONTINIに引っ張られ、その場を去っていくOLIVA。
PASQUINI親子は、その様子を不思議な顔で眺めるだけであった……
------------(フィクションです)-----------
フェデリコ君初登場作品。
ちょうどこの頃は、ミニコントを「初心者の為のEUROBEAT講座」に使えないかと
考えていましたっけ。今じゃどうにもなってませんが(笑)。