子供に人気の秘密
〜CHRISTINE & ZANINIシリーズ
VOL.5〜
「――? あれ、もう日本の勉強は止めたのかい?」
――ここは、某日、イタリア、SCPのレコーディングスタジオ。
E.ZANINIはスタジオに入ると、最近はいつでも何か日本のことを勉強しようとしている
レーベルメイト・CHRISTINEを見かけたのだが、今日の彼女はソファーに座って
普通にマンガの単行本を読んでいるだけであった。
「あらENNIO、お早う」
笑顔で挨拶をするCHRISTINE。その笑顔は、子供を持つ母親になった今でも、
変わらず可愛らしかった。……と毎回思ってしまう自分にため息をそっとつく。
これだから女性は怖い、と彼女の笑顔を見るたびにZANINIは思うのであった。
「珍しいね、君がマンガを読んでるなんて」
「ええ、そうかも。――でもこれも日本の「和」を会得する為よ。
これ、日本で今人気のマンガだもの」
「いや、今日本で人気のマンガを読んでも「和」の勉強にはならないんじゃないか?」
もっともな疑問でもある。「和」とは、日本古来の心得なのだから。
「そうだけど……でもね、昔の日本と、今の日本。その両方を知ることで、
初めて「和」の深みを知ることが出来ると思うの。だから」
相変わらず説得力だけは非常にある。
「――でもまあ、日本のマンガがこっちのマンガよりも面白いから、ってのもあるけどね」
と、彼女は再び無邪気な笑顔を見せた。
「そんなに面白いのかい、日本のマンガは」
「ええ。――例えば今私が読んでる、これ」
「何々……「名探偵コナン」?」
「推理物のマンガよ。――主人公は高校生で、色々な事件を解決していて、
世間でも噂の名探偵だったんだけど、ある日悪の組織の手によって薬を飲まされて
体が縮んでしまったの。彼はその悪の組織を追い詰める為にその小さな体で
色々な事件に立ち向かっていくっていう話なの」
「へえ……でも体が縮んじゃったんだろ? どうやって事件を解決するんだい?」
「知り合いに博士がいてね、その博士だけ彼の正体を知っていて、助けてくれるんだけど、
その博士が色々な発明品を貸してくれるのよ。キノコとか花とか」
「キノコとか、花、とか? それ発明品なのか?」
「ええ。――主人公がキノコを持つと一時的に体が大きくなって、
花を持つと手から火の玉が投げれるようになるの」
「――ちょっと待て。僕昔そんなテレビゲームをしたことあるんだが」
「確か名探偵コナン、日本ではゲーム化されてるわよ」
「いやそうじゃなくて!! それ途中からどう聞いても「スーパーマリオ」だよ!!」
そうZANINIが言うと、CHRISTINEは怪訝な表情を見せる。
「――ENNIO、あなたTIMEが好きなんだっけ」
「それは「SUPERMAIO
/ ATRIUM feat. ANGIE
DAVIES」(SEB58)だ!!」
興奮してツッコミをするZANINIをよそに、CHRISTINEが次の本を取り出す。
「でもやっぱ、日本って言ったら「ドラえもん」よね」
ZANINIは、あまりこっちばかりが興奮しても仕方が無いと、水を含んで冷静を取り戻す。
「それは僕も知ってるよ。ユーモアだけじゃなく、夢や感動もあって、大人でも楽しめる」
「そうよね。――特に私が好きなのは、「大長編」の方」
「大長編?」
「ええ。映画の、原作本のこと。これは感動の作品が沢山あるのよ。例えばこれ、
「のび太の宇宙開拓史」。――ある日、のび太の部屋と、とある遠い宇宙の惑星とが繋がってしまうの」
「ふんふん」
「のび太達は向こうの惑星の人達とも仲良くなっていくんだけど、次第にのび太は
その惑星を自分のものにしたいと考えはじめるわけ」
「ふんふん……?」
「その考えでドラえもんと対立。いつしか地球を巻き込んだ戦争へと勃発」
「ええええええ!? のび太裏切り!? 裏切りののび太!?」
言い方変えただけで意味は同じなのにZANINIは気づいていなかった。
「結果、のび太は敗北。処刑されるの」
「ちょ、ちょっと待てって、それじゃシリーズ終わるだろ!?」
「だから、今ののび太は2代目なの」
「何そのとってつけたようなダークな豆知識!?」
「あとね、私が好きなのはこれ「のび太の宇宙小戦争」」
あっさりとツッコミはスルーするCHRISTINE。
「これはね、ある日のび太の家にやってきた、手の平におさまるくらい小さな宇宙人と
のび太達は仲良くなるの。スモールライトで同じ大きさになって一緒に遊んでいたんだけど、
その宇宙人は大統領でね、悪者に誘拐されちゃうの。その時にスモールライトも
奪われたから、それを奪い返しにいくっていう物語よ」
「ああ、友情の物語だろう?」
「違うわ。のび太達はスモールライトを取り返して元に戻れればそれでいいのよ」
「おいいいい!! 何その冷静な分析!? そんなわけないだろ!?」
「結局スモールライトを取り返す前にドラえもんがポケットからキノコを出して、
みんなそれで大きくなって悪者を倒すのよ」
「だからキノコは違うって言ってるだろうがぁ!!」
CHRISITNEはふぅ、とため息を1つつく。
「……にしても、キノコで人が大きくなるのも変な話よね」
「止めてくれ! 言い出したらきりがない!!」
------------(フィクションです)------------
日本の漫画(主にドラえもん)をテーマにした作品。
EUROBEATネタ無さ過ぎですよね(爆)。
でも、やっぱりこういうネタの方が実は好きだったりします、筆者は。