幼き心をいつまでも
〜CHRISTINE & ZANINIシリーズ VOL.8〜


「――ちょっと、気が早すぎるんじゃないか?」
E.ZANINIはレーベルメイトであるCHRISTINEにそう語りかけた。――某日、イタリアSCPのスタジオにて。
ZANINIがロビーに入ると、CHRISTINEが部屋の角でクリスマスツリーの準備をしていたのである。
「お早うENNIO。――早いって、何が?」
「クリスマツツリーに決まってるだろ。まだ11月になったばっかじゃないか」
ZANINIは呆れ顔でCHRISTINEを見た。だが彼女は動じない。――飾りつけをしながら、語り始めた。
「日本ではね、その節句で飾るものは早めに出して、早めにしまうといいっていう言い伝えがあるのよ」
「へえ。――だから君、ツリーも?」
「そう。しまうのも早めにやるつもりよ。12/23ぐらい」
「おいおい、肝心のクリスマスになってないだろそれじゃ!!」
「やあね、冗談よ」
CHRISITNEが悪戯っぽく笑う。――嘘と認めたのは初めてかもしれない。
「――でも、今年もだんだん終わりが近づいてきたのよね」
「そうだな。――色々あった」
「ええ。――離婚疑惑とか離婚発覚とか離婚後のインタビューとか」
「おおおおぃぃ!! その明らかに特定人物のニュースに絞るのはよせ!」
「やあねENNIO。――具体的には一昨年の話よ」
「君が振ってきたんだろ!?」
ZANINIのツッコミを他所に、CHRISTINEはツリーの横に置いてあった紙袋を取り出した。
「――なんだい、それ」
「日本にはね、お正月特有の玩具を使った遊びっていうのが結構あるのよ」
「なるほど、既にそこまで用意済みってことか」
CHRISTINEは、ガサゴソと袋の中に手を入れて何かを取り出している。
「まず有名なのが、「たこあげ」っていう遊び」
「たこ……あげ?」
CHRISTINEは、袋の中から紙を取り出し、それに細い木の棒を付けている。
「出来た。――これがね、「たこ」って言われる玩具なの。――はい」
CHRISTINEは、ZANINIにたこを手渡した。白くてちょっと大きな紙の四方や中心などを木の棒で繋げ、
小さな看板のような形になっていた。
「へえ……これで、どうやって遊ぶんだい?」
「もう遊んでるじゃない」
「……はい?」
「「たこあげ」――「あげ」っていうのは、「あげる」っていう日本語の省略形なの。
「あげる」っていうのは、手渡す、っていう意味みたい。つまりたこあげって、そのたこっていう玩具を
手渡して遊ぶことみたい」
「……それ、面白いか? ただ手渡しするだけだろ? わざわざ新年のめでたい時にそんなことするのか日本は」
ZANINIは、率直な疑問をぶつけた。
「私も……正直どのあたりが面白いのかちょっと疑問なのよ。――まだまだ勉強が足りないわね」
どうも自分の解釈が違うんじゃないか、という所には達しないようだ。
「後はね、多人数で室内でやる遊びに「かるた」っていうのがあるの」
そう言うと、CHRISTINEは束になったカード状のものを取り出した。
「絵が描いてあるカードと、文が書いてあるカードがあるな。それに絵が描いてあるカードには
一文字だけ字が書いてある」
「この遊びにはね、1人「読み手」っていう人がいて、その人が、文が書かれているカードの文を読むの。
他の人は、その文に合った絵が描いてあるカードをタッチして取る遊びよ。最終的に沢山取った人の勝ち。
――ENNIO1人しかいないから勝負出来ないけど、試しにやってみましょうか?」
「いいけど……僕は日本語読めないぞ」
「大丈夫、一文字の部分を英語に直してあるから。一文字だけだったら読み方も大体同じだし」
そう言うと、CHRISTINEはせっせと絵札を並べ始めた。
「じゃあいくわよ。ちゃんと私が読む文に合った絵札を探してね」
「大丈夫、一文字絵札にも書いてあるし」
「オホン。では一枚目。――「エースとファストウェイ 2人合わせて"GO 2"」
「「エースと」……え……え……って、おい、それ本当に日本の遊びなのか?
普通にEUROBEATの内容じゃないか」
「私が自作したの。名付けて「EUROBEATかるた」。――普通よりもきっとやり易いわ」
「まあ、確かにね」
「それじゃ次。――「ニューフィールド、ホントはDAVEが嫌いなの?」」
「「ニューフィールド」……に……に……っておいおい、何だよその文は!」
「噂で聞いたの」
「よせよ、そういうのは……」
CHRISITNEは普段から何を言い出すかわからないのでZANINIは冷や汗ものであった。
「次。――「いや奥さん、駄目ですよ! 僕はただの米屋です」」
「「いや奥さん、駄目ですよ」か……い……い……い……っておいいいいい!!
なんだその意味深なお題は!? 子供の遊びなんだろこれ!?」
「日本では子供にもリアルな教育を」
「逆にリアルじゃないだろそれは!! 大体なあ……ほら、見てみろ!」
ZANINIは、「い」の絵札を見つけ、手にとってCHRISTINEに見せる。
「お題と全然違う絵じゃないか! 犬が道端の棒にぶつかってる絵だぞこれ!?」
「犬が棒にぶつかって不意にそれた視線の先にその光景が」
「そんなことまでこの絵でわかるわけないだろ!? 第一EUROBEATかるたじゃなかったのか!?」
「そうかも」
「なんだその曖昧な応対は!?」
「気を取り直して次。――「ジャンカルロ〜 何故私と離婚した〜」」
「「ジャンカルロ〜」……じ……じ……って待てええええぃぃぃ!! またこの前の話かよ!」
「ほらこれ、「じ」の絵札。さっきと違ってわかり易い絵でしょ?」
CHRISTINEが、「じ」の絵札を手に取り、ZANINIに見せる。
「じ」の絵札には、DAVEとD.DE.VICENZOのライブの時の写真が写っていた。
「わざわざ作ったのかこれ!?」
「他にもあるわよ。例えば「ふ」はね、「フェデリコの 親権絶対 私のよ」
「ぬ」はね、「NUAGEめ いつかきっ――」」
「もういい!! 前々から聞こうと思ってたんだけど、君は彼女に何か恨みでもあるのか!?
そのうち訴えられるぞ!?」
「別に恨みがあるわけでも嫌いなわけでもないの。――ただ、この前靖国神社へ行ったら彼女の――」
「うおおおぉぉぉぉぃ!!! 結局それかぁ!!」

------------(フィクションです)------------

随分某夫婦を激しく弄り回した回(汗)。当時はまだNUAGEとの噂のままでしたしねー。
個人的には何故か紛れ込んでる日本風味(?)のかるたですか(笑)。

しかしEUROBEATカルタ、真面目に作ったら面白そうですな(爆)。


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