仏様の裏事情
〜CHRISTINE &
ZANINIシリーズ VOL.14〜
「へえ……日本にはこんな場所もあるのね……」
CHRISTINEは独り言を呟きながら雑誌のページをめくっていた。
――某日、イタリア、SCPのスタジオにて。
「何だ、旅行の予定でもあるのかい?」
E.ZANINIはその様子を見てCHRISTINEに尋ねた。――彼女が読んでいたのは、
日本の観光名所を特集した雑誌のようだった。
「あ、ううん、具体的に決めたわけじゃないけど……でもほら、日本の知識だけ
一生懸命身につけたって実際色々体験してみないと、何とも言えないじゃない?
だから、行ってみたいな、って」
笑顔で答えるCHRISTINE。――ZANINIはその間違った知識のまま
CHRISTINEを日本へ行かせたらイタリアの恥になるのではないかと急に不安になった。
ほおっておいたら日本人に
「日本人って、天体観測の時に「星の綺麗な夜でっすぅ!」って言いますか?」
とか聞きだしかねない。
「ねえ、ENNIOは日本の観光名所って知ってる?」
そんなZANINIの不安を他所に、CHRISTINEは質問をしてきた。
「日本の名所? うーん……そうだな、「フジヤマ」とか?」
「うん、確かに有名だけど……でもね、日本には建造物とかでも古来のものが沢山あるみたいなの。
たとえば……ほらこれ」
そう言うと、CHRISTINEはZANINIに雑誌のページを見せた。――そこには台座に座っている
巨大な銅像の写真が写っている。
「何々……『大仏』」
「『大』が大きい、って意味で『仏』が仏様、って意味みたい。その大きさの分だけ、
日本人はこの大仏のことを大きく想っているんじゃないかしら」
「成る程……」
凄くまともな説明に、ZANINIは普通に関心してしまった。
「もちろん、大きさに合わせて名称も変わってくるわ。大仏の下が『中仏(ちゅうぶつ)』、その下が『小仏(しょうぶつ)』
更にその下が『例のブツ』」
「成る程……って、待ていぃぃ!! 何だ最後の変なのは!?」
「え? 2重鍵括弧のこと?」
「それは僕らの会話を文章にした場合だろう!? そうじゃなくて、例のブツとかいうやつだよ!!
それ仏様とかじゃなくてただの怪しい品物にしか聞こえてこないよ!!」
「仏様だって、怪しい品物に手を出したくなる夜があるわよ」
「そんな簡単に仏様を片付けるな! というか怪しいものだったかやっぱり!!」
ZANINIのツッコミを聞いてか聞かずか、CHRISTINEはせっせと雑誌をめくる。
「他には……『天橋立(あまのはしだて)』がオススメですって」
「――名前からして、橋の一種なのか?」
「一応……そうみたい」
「一応?」
CHRISTINEの返事が歯切れが悪かったのでZANINIは確認してみた。
「ええ。――日本にはね、海女(あま)さんっていう海に潜る職業の人がいるらしいんだけど、
その人達がどうやら水中で支えている橋らしいのよ。だから『あまのはしだて』」
「いや何だその無理丸出しの橋は!? 無理だろ!?」
「だからね、近年になってメカ海女さんっていうのが開発されたみたい」
「いやその前に普通に橋を作れよ!! それだけの技術があるなら!!」
「駄目ねENNIO。――それが『和』なのよ、きっと」
何処がですか。――ZANINIはそう言おうとしたが言っても無駄だろうと思い止めておいた。
「他には……ここなんてどう?」
そうCHRISTINEが指差した写真には、何やら金箔の寺が写っていた。
「――凄いな、これ」
「『金閣寺』って言うの。何でも当時の将軍の別荘として建てられたんですって」
「こ、これが別荘か……ちょっとな……」
ZANINIは苦笑した。人によっては趣味が悪い、と言われても仕方の無いような雰囲気がある。
「でもね、当時の将軍はこの金のお寺を建ててしまったことで、財政難に陥ってしまったの。
だから、実家は3畳1間のアパート暮らしだったらしいわ」
「うーん、そりゃ確かに、仕方な……くないだろ、全然! それならずっと別荘に住んでればいいだろ!?」
「駄目ねENNIO。――それが『和』なのよ、きっと」
「何でもその一言で片付けようとするんじゃないよ!!」
------------(フィクションです)------------
ZANINI
&
CHRISTINEコンビ。ちょっと復活気味の和ネタ(笑)。
「和」ネタ、少なくなりましたが続けられる限り続けていきたいですね。
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