蛇に負けてはいけない
〜CHRISTINE &
ZANINIシリーズ VOL.32〜
「ナツ・ナツ・ナツ・ナツ・ココ〜ナッツ♪ アイ・アイ・アイ・アイ・アイランド♪」
その日、E.ZANINIがドアを開けると、そこは夏だった。
「……いや、夏なわけないんだけどな」
――某日、イタリア、SCPのスタジオにて。
「あら、小麦色に焼けた肌の女のせいで風に噂されてるENNIO、お早う」
「その表現一体何処から来たんだ……? っていうか、これ何だい?」
ZANINIがスタジオのロビーに入ると、そこは何故か夏を彩られていた。
その中心で歌を口ずさみながら挨拶をしてきたのは、レーベルメイトのCHRISTINE。
「日本ではね、年明けに「かきぞめ」っていうのをするらしいの。
「かき」ってのは夏季、つまり夏の時期のこと。「そめ」ってのは染めるって意味。
だから、スタジオを夏に染めてみました」
「いや、それ本当か……?」
「ちなみに、ENNIOには思春期の娘に煙たがれる父親の役を用意したのよ?」
「しなくていいよ!! っていうかそれ夏関係あるのか!? 百歩譲っても夏関連にしておけよ!!」
「じゃあそうね……夏、縁側でアルコールが欲しくなった父親の役。息子にお願いするのよ。
――「おーいフェデリコ、ビール持って来てくれ」」
「またそこか!! その名前呼んでる時点で日本じゃないしとある特定家族を想定してるし!!」
「日本ではね、パラパラブームの時、生まれてきた子供にフェデリコって名づけるのがブームだったのよ」
「嘘付けえぇぇぇぇ!! そんなわけないだろうが!! どれだけ凄かったんだよパラパラブーム!!」
「少なくとも、DAVEとDOMINOが息子にフェデリコと命名する位には」
「逆!? 日本でブームだったからあそこの息子はフェデリコって名前だったのか!?」
嘘だとわかっていてもZANINIとしては段々わけがわからなくなってきていた。
「――っと、そんなことはどうでもいいの。ほらENNIO、時間が無いんだかR、早く準備して」
「? 時間が無い、って?」
ZANINIにしてみれば今日特にそんな急ぎの話は聞いていなかったのだ。
「――ENNIO、見てないの? SEB184のトラックリスト」
「SEB184? いや、見てないけどどうかしたのか?」
「ラスト、Tr.18! "THE
SNAKE"っていう名義なんだけど、ウチからの新しい名義なのよ!!」
「へえ……」
ZANINIとしては何もSCPの経営方針やらアーティスト育成やらに関わっているわけではないので初耳だった。
だが、普通に感心していると、
「感心してる場合じゃないわよENNO!!」
CHRISTINEは憤慨といった様子だった。少しZANINIは驚いてしまう。
「お、おいおい、どうしたんだよ」
「怪しいじゃないこの名義……何者かもわからないのよ?」
「まあ、会ったこともないからな。――もしかしたら既存の人間かもしれないし」
「怪しい……怪しいわ! CHRISTIANのクレジットがいつもセンターな位怪しい」
「いや別にそれ怪しくないから!! 全然怪しくないから!! っていうか君の怪しいの基準が変だ!」
放っておくと何でも「怪しい」と言い出しそうではある。
「どちらにしろ、負けるわけにはいかないの。だからこうして独特の雰囲気をアピールするんじゃない」
「気持ちは……おまけのおまけでわからないでもないけど……」
この独特の雰囲気をアピールしたら新人だったら逃げちゃうだけじゃないのか、とZANINIは思った。
「よし、それじゃリハーサルしておきましょう」
「リハーサル!? 何の!?」
「このスタジオに"THE
SNAKE"が現れた時のに決まってるじゃない。最初の印象が大事なのよ。
――はい、ENNIOはとりあえずそこの椅子に座ってて。――はい、いくわよ!」
ZANINIは流されるまま、近くにあった椅子に座らされてしまった。
「それじゃ……スタート! はいTHE
SNAKE入ってきた!」
と、CHRISTINEが合図をすると――
「ちゃららららら〜」
「壷からメリッサが出てきた!?」
謎の効果音と共に大きめの壷の中からレーベルメイトのM.BIANCHINIがニョロニョロと顔を出したのだった。
「相手もTHE
SNAKEだから、ヘビで対抗しないと」
「いやだから対抗の意味がわからないよ! 全然意味不明だよ!」
「ちなみにその隣の壷に髪の毛を振りかけるとCHRISTIANが召還されるの」
「最早ヘビすら関係ない!?」
ちなみに、まさかとは思ってZANINIは隣の壷を覗いたが、誰も入っていなかった。――まさかな。
「んー、でも確かにENNIOの言う通りインパクトは薄いかもね」
「いやそんなことは一言も言ってないぞ……」
「メリッサ、あっちのパターンでいきましょう」
「ええ、わかったわ」
合図を出すと、再びBIANCHINIは壷に戻った。――そして、
「――はいTHE
SNAKE入ってきた!」
CHRISTINEがそう言うと、BIANCHINIが壷から頭を出して――
「リキッドぉー!!」
「うおおおぃぃぃぃ!! そのスネーク!? スネーク違いだよそれ!!
相手がそのゲームやってなかったら意味がわからないよ!!」
「装備も武器も現地調達なのに」
「関係ないから!! 全然関係ないから!! っていうか違う意味でインパクト強すぎだから!」
「ENNIOがそういうなら仕方ないわね。――メリッサ、パターンCで」
「了解」
まだあるのか。――ZANINIはため息をつく。合図を出すと、再びBIANCHINIは壷に戻った。――そして、
「――はいTHE
SNAKE入ってきた!」
CHRISTINEがそう言うと、BIANCHINIが壷から頭を出して――
「ENNIOぉー!!」
「ええええええ!? 何!? 何か僕に用事ですか!?」
「日常会話じゃない」
「暑苦しい日常会話だなおい!!」
と、ツッコミをZANINIが入れた時だった。――ロビーに駆け足の音が近付いてくる。
「CHRISTINE! CHRISTINE!」
入ってきたのは、レーベルメイトのA.BONIだった。
「ALESSIA、どうしたの?」
「新情報! THE
SNAKEの新情報なんです!」
こいつも一緒だったか。――ZANINIは再びため息をつく。
「何? 何かわかったのね?」
「はい、かなり重要な情報です!」
一気に緊迫した雰囲気に部屋が包まれる。――そして、BONIが口を開いた。
「THE
SNAKE……男でした!!」
「うおおおぃぃぃぃぃ!! 今更その程度なのか情報って!! 重要なのか今それが!?」
「わかってないわねENNIO。――どうせ「SCPのニューカマー」とか書かれるのよ?
新しいオカマかもしれないじゃない」
「絶対違うから!!」
------------(フィクションです)------------
SCP恒例、CHRISTINEの新名義弄りでした(爆)。
無駄に長いですが、個人的にはメリッサの「ENNIOぉー!!」あたりがお気に入り(笑)。
ちなみに頭でCHRISTINEが歌っていた歌に関して。
こちらも恒例ですが、ついてこれる人だけでいいです
(爆)。
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