中年パワー
〜GOBBIシリーズ VOL.2〜
「さあみんな、待たせたね!! このライブ、トリを務めてくれるのは、
みんな大好き、A-BEAT-Cの歌姫、KARENだ!」
沸きあがる歓声。沸きあがるライブハウス。
――ここは日本のとあるライブハウス。今日はここでEUROBEATのイベントが
行われているのだ。
ナレーションの後、颯爽と登場するK.J.WAINWRIGHT。歓声は更に沸きあがる。
「KAREN!
KAREN!
KAREN!」
会場ではKARENコールが起こっていた。
WAINWRIGHTは、自分の心が高揚していくのをはっきりと感じていた。
「KAREN!
KAREN! KAREN!」
鳴り止むことのないKARENコール。
「KELLY! WAIN!
VERONICA!」
よく聴くと、別の名義で呼んでくれている人も結構いるようだ。
「VARONICA! VERONICA!
VERONICA!」
あれ、とWAINWRIGHTは思った。……よく聴いていると、間違いなく
「VERONICA
SALES」で呼ぶ人の割合が増えてきている。
「VARONICA! SALES! SALES!
SALES!」
挙句の果てには、「セールス」しか聴こえなくなってきた。――どういうことかしら?
だが、次の瞬間、会場から信じられない言葉が発せられた。
「私達は、夏物セールに来たのよ!!」
中年女性の、はっきりとした言葉が会場を貫いた。
「しまった……こいつら「VERONICA
SALES」を何かの特売と
勘違いしてやがったのか!!」
慌てふためくスタッフ。だが会場は暴走を始める。
「早く夏物セールを始めなさいよ!!」
暴徒と化した観客が、ステージ上へなだれ込む。
最早、止めることの出来ない大惨事となってしまった……
「……ってことにならないかしら、あなたが日本へ行ったら」
真剣な顔つきで、E.GOBBIはWAINWRIGHTに尋ねた。
WAINWRIGHTは、ため息を吐くと、呟いた。
「――なるわけないじゃない」
「でもKIKI、日本の中年女性は怖いって言うわよ」
「ELENA……あなた少し疲れてるんじゃないの?」
心配性のレーベルメイトに、日々苦労するWAINWRIGHTであった。
------------(フィクションです)------------
VOL.1「心配性」と同日に掲載されたミニコント。
心配性の続編、ですね。KARENさんが弄られてます。
――結局クールにかわしてしまうわけですが(笑)。