ALBERT OF FLANDERS
〜GOBBIシリーズ VOL.9〜


「――前々から思ってはいたんだけど」
K.J.WAINWRIGHTがため息混じりに呟いた。某日、イタリア、A-BEAT-Cスタジオ、ロビー
……が、見える位置にある廊下にて。
「ELENA、あなた趣味悪いわよ」
「え、そうかしら……服とかは歳相応にしてるつもりなんだけど」
「いや服の趣味じゃなくて。――その、廊下からロビーの様子をこっそり見る感じが」
WAINWRIGHTが指摘したように、E.GOBBIは何やらスパイの如く、
ロビーの様子を伺っていたのである。――WAINWRIGHTは少しだけ離れた位置でそれを見ていたのだ。
「何言ってるのよ、私はここ(A-BEAT C)が心配で」
「私はあなたの考え方が非常に心配よ。――今まであなた色々心配してたけど、
結局無事に終わってるじゃない」
「今回は今までの比じゃないわよ。――ALBERTが、正式に辞めたでしょ?」
A-BEAT-Cの創立者の1人であるA.CONTINIは、先日A-BEAT Cを離れてしまっている。
「ああ……うん。まあ、それは確かに大きいけど。でもだからといって、彼がいなくなったからって
いきなり揺らいだりする? 作家陣はちゃんと揃ってるし」
「作家陣とか、そういうことじゃないのよ。――ALBERTが辞めた理由、何だか知ってる?」
「ううん、具体的には」
「ALBERTが辞めた本当の理由はね……A-BEAT Cを、乗っ取る為なのよ!!」
その瞬間、WAINWRIGHTは足が滑って転びそうになった。というか、
「だったら辞めなきゃいいじゃないの、それ……」
最もな意見である。彼はDAVEと並び、A-BEAT Cのトップだったのだから。――が、
「何言ってるのよ! 一度離れてから乗っ取ることに、男のロマンがあるんじゃないの!」
GOBBIの言ってることは、意味が分からなかった。
「でもねKIKI、男のロマンは、叶わないところにまたロマンがあるのよ?」
「――そうなの?」
「そうよ! ALBERTは残念ながら乗っ取りに失敗、路頭に迷うことに……
家も奪われ、道端のダンボールでの生活を余儀なくされてるわ。――KIKIも、ALBERTを
道端で見かけたら、そっと1ユーロを置いていってあげてね!」
言いながら、GOBBIはWAINWRIGHTの手を両手でガシッ! と握り締めた。――その瞬間、
WAINWRIGHTからは深いため息が漏れた。
「言いたいことは多々あるけど、とにかく――」
「ああっ!!」
GOBBIが急に大声をあげたので、手を握られていたWAINWRIGHTはビクッ、と体が震えてしまった。
「な、何よ、急に」
「大変よKIKI! 私細かいお金持ってないわ! 両替しないと、ALBERTに恵んであげられない!」
「何でそんなにケチなのよ、もうちょっと恵んであげても……って、そうじゃなくて!」
WAINWRIGHTは、知らない間に乗せられてる自分に多少腹が立った。――が、GOBBIはそんな様子を
気にもせず、話を続け出す。
「そしてALBERTは愛犬パトラッシュを抱きながら「パトラッシュ……僕もう疲れたよ……」って呟きながら
天使に招かれて――もう駄目だわ!」
GOBBIがWAINWRIGHTの手を離し、がっくりとうなだれた。
「ああもう、何処まで先のことを心配してるのよ! パトラッシュだの天使だの、あるわけないでしょう!?」
「そうね……せいぜい「私の足長おじさん」かしら」
「そういう意味でもないわよ!! というかそのせいぜいの意味がわからないし!!」

------------(フィクションです)------------

……何だか、書いていて随分予定が崩れた作品です(汗)。
本当はALBERTさんの話はさわりだけの予定だったんですが、
それだけで短めのが1本出来てしまいました。
というわけで、あれです。次回へ続く(爆)。


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