OH MY WINGS
〜「MANUEL」シリーズ VOL.1〜


「なあDAVE、昨日のレコーディングのことだけど……」
S.OLIVAは部屋のドアを開け、DAVEに向かいそう言いつつ部屋へと入っていった。
しかし、OLIVAはそれ以上の言葉を発するのを少々戸惑った。
DAVEが、何やら真剣な顔つきで雑誌をめくっているからだ。
「――どうした? 何の本だ?」
その一言で、DAVEがやっとOLIVAの存在に気付く。
「ああ、SANDROか。――実は、MANUELの衣装について考えてたんだ」
「MANUELの……衣装?」
「ああ。今度日本でパフォーマンスがある時は、MANUELに行ってもらおうかとも考えてるんだ」
「その意見には賛成だが……衣装って、どういうことだ?」
「SANDRO、MANUELはどういうファン層に人気が出ると思う?」
いきなり関係の無さそうな質問に、不意をつかれる。
「どういうって……若い女性層とかじゃないのか?」
考えることもなくOLIVAは答えた。もっともな意見である。
「若い女性に人気のある日本のアーティストのライブ映像を見ていると、何度も衣装を取り替えてるんだ。
歌はもちろん、ファンの間ではそういった衣装も話題になっているらしい」
「成る程。それで衣装を、か」
DAVEが一生懸命見ていた雑誌は、ファッション雑誌だったのだ。
「それで、色々考えたんだが……やっぱりその曲に合わせた衣装、っていうのが
やっぱりファンからしてみれば印象的になると思うんだ」
「まあ、確かに」
「というわけで、各楽曲ごとに考えた衣装をちょっとイラストにしてみたんだ。
それぞれ君の意見を聞かせてくれ」
わざわざイラストを書くあたり、相変わらず芸が細かい。
「まずは「ON MY WINGS」からだ」
そう言うとDAVEは1枚の絵を取り出す。そこには分かり易く人の背中に
羽のアクセサリーが付けられている絵が描いてあった。
「まあ大方予想はついていたが、羽をつけさせるわけだね。WINGSにあやかって」
「そう。まるで堕天使のようにね」
「――別に「堕」じゃなくてもいいんじゃないか?」
「何言ってるんだSANDRO、そこがミソなんだ」
と言われてもOLIVAはいまいち納得出来なかった。――そうこうしている間に次の絵が出される。
「次は「SHOCK ME」だ」
「「SHOCK ME」だ、って……何だいこの絵は。人が2人立ってるだけで、衣装の説明は
何も書かれてないじゃないか。というかMANUELの衣装を考えるのにどうして2人も人を描いてるんだ?」
「SANDRO、後ろはELENAだ」
確かにE.GOBBIは「SHOCK ME / MANUEL」にコーラス参加しているが、
それでも何も説明書きがないことの理由にはならない。――と、そこでOLIVAは後ろにGOBBIとして
描かれている人が、四角い箱を持っているのに気付いた。
「DAVE、これは?」
「これがポイントさSANDRO。――曲がサビに入ってMANUELが「SHOCK ME」と歌った瞬間、
後ろからELENAがスタンガンで電気ショックを与えるんだ。まさにSHOCK ME」
「うおおおおおぃ!! 全然上手くともなんともないぞそれ!!
第一それはパフォーマンスの話で衣装とは無縁じゃないか!!」
「――それもそうか。鋭いなSANDRO」
「誰でも気付くわ!!」
DAVEは特に反省することもなく次のイラストを出す。
「次は「BIG BOY」だ」
と言ってDAVEが見せる絵には、MANUELとして描かれた人が1人立っているだけ。
「――今度こそ、本当に立ってるだけじゃないか、1人で。手には何も持ってないし」
「いや、これは考えるのに苦労したよ。――ほら、これを見てくれ」
DAVEが絵の一部分を指差す。よく見ると、そこには小さい黒い点がインク漏れのごとくある。
「何か意味あるのか? この点が」
「こっちが僕で、これがALBERT。で、これはSANDRO、君だ」
1つ1つ点を指差しながら、DAVEは説明を続ける。
「――まさか、これって」
「そう。「BIG BOY」にあやかって、MANUEL本人を巨大化したんだ」
「うおおおおおぃ!! 何その非現実的なパフォーマンス!? 無理だろ!?」
「まあ、MANUELは成長期は終わってしまっただろうしな」
「成長期でも無理だ!! 大体なDAVE、その曲のタイトルそのままにするっていうのには
限界があるだろう!? 「I'VE GOT TO GO」とかどうするつもりだ!?」
「君がそう言ってくることも考えて、こんなのも用意した」
そう言うと、DAVEは1つのビニール袋を取り出した。中には折りたたまれた紙が沢山。
「――くじ引きか」
「そう! その他の時の衣装はこれで決めよう」
「まともなんだろうな。この間みたいなことにならないだろうな」
「大丈夫さSANDRO。衣装のくじ引きなのに「DOMINO」と書かれてたら変だろう?」
そういう意味でもないのだが。――SANDROはしぶしぶくじを引き、紙を広げてみる。
中には「ブリーフ1枚のみ」と書かれていた。
「だあああああぁ!! こんな格好でライブが出来るか!!」
「野性味溢れてるじゃないか」
「ただの変態だ!! それに結局まともなくじ引きじゃないじゃないか!!」
「そんなことはないが……ほら」
DAVEも試しに自分で引き、その紙をOLIVAに渡す。
その紙の中には、「トランクス1枚のみ」と書かれていた。
「大して意味変わってないじゃないかその2枚!?」
「何言ってるんだSANDRO。世の中にはブリーフ派とトランクス派がいるんだ。えらい違いだぞ」
「そういう問題じゃない!!」

------------(フィクションです)------------

MANUELシリーズなんですが、本人は未登場です(笑)。
DAVE絡みで貴重にもDOMINO元奥様のいじりがない作品でして、流れとしてもオチとしても
個人的にお気に入りな作品の1つですね(笑)。


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