DO YOU REMEMBER ME?
〜MANUELシリーズ VOL.3〜


「うん、中々いい感じだな。――少し休憩にしようか」
S.OLIVAのその一声で、レコーディングルームから1人の青年が出てくる。
彼の名前は――というよりもアーティスト名義は――MANUEL。A-BEAT-CがPUSHしている
男性ヴォーカリストであり、頭文字Dにも楽曲が使用されている、人気のある歌い手だ。
彼の楽曲は、OLIVAとF.CONTINIの2人だけで取り込むことが多く、
DAVEが関わることは少ない。今回もそのパターンであり、レコーディングにもDAVEは
参加していなく、OLIVA1人で見ていた。
「サビのところ、あるだろ? あそこでもう少し勢いとか、そういうのを感じたいな。
次はそれを意識しながら歌ってみてくれ」
OLIVAは彼にそう語りかけた時に、ふと気付いた。――どうも元気がない。
「――サビ? わかった、気をつけるよ」
返事にも何処か覇気が感じられない。
「――おい、元気ないな。何かあったのか?」
そのOLIVAの問いかけに対する返事のように、MANUELはふぅ、とため息を吐いた。
「なあSANDRO、僕のMANUELっていう名義、どう思う?」
「どう思う、って……別にいいじゃないか。格好いいと思うが」
「格好よさとかじゃないんだ。――覚えづらかったり、しないかい?」
「はは、覚えづらいってことはないだろ。アルファベットで6文字。発音だって難しい発音じゃない。
――それがどうかしたのか?」
OLIVAが尋ねると、MANUELは真剣な面持ちになる。
「実は……みんなが、僕の「MANUEL」っていう名前を、覚えてくれないんだ」
意外な発言に、一瞬OLIVAは我を忘れた。
「覚えてくれない……わけないだろ。さっきも言ったように、覚えづらいわけが――」
「僕だって最初はそう思ってたさ。でも、この前――」

「ここは、こんな感じにしたいんだけど、どう?」
MANUELは、とある日スタジオの廊下にて、OLIVAとコンビで作品提供をしてくれている
F.CONTINIに呼び止められ、軽い打ち合わせというか、確認をしていた。
「うん、僕はそれでいいと思う」
「そう、じゃあこの路線でいくわね。ありがとう」
話も終わり、再び歩き出したその時、思い出したようにCONITINIが再び声を出す。
「あ、ちょっと待って、M――」
自分のことだろうと思い、MANUELは振り返ったのだが、肝心のCONTINIは怪訝な表情。
「M……マ……ま……MATT LAND?」

「――偶然というか、度忘れだろう、NORMAの。彼女だって疲れてる時があるさ」
OLIVAはMANUELに諭すように説明した。――内心は微妙なところと間違えてくるな、と冷や汗ものだったが。
「僕だって最初はそう思ったさ。でも――」

「新しいSUPER EUROBEATって、聴いた?」
MANUELがスタジオのロビーに入ると、そこには既に2人の女性――
E.GOBBIとK.J.WAINWRIGHTが休憩も兼ねて談笑していた。
「聴いた聴いた。私あれがいいと思った。「NO CONTROL」っていう曲。えーと……」
「MAD MAXが歌ってるやつね」
「そうそう、MAD MAX!」

「――その後も2人ともMAD MAXに何の疑問も持たず会話を続けてたんだよ」
MAD MAX……じゃなかった、MANUELはふぅ、とため息を吐いた。
「それは……その、何だ? 多分KIKIがELENAに心配をさせたくないから分かってて同意してたんだ。
うん、たまたまに決まってるさ」
と言いつつも、OLIVAの頭は少々混乱し始めていた。――その間違い、レーベルすら合ってない。
と、その時だった。
「お早う、SANDRO、M……マンマミーヤ」
ふと見ると、D.DE.VICENZOが笑顔で軽く会釈をして横を通り過ぎていく。
「今DENISE、僕のことをマンマミーヤって――」
「いや違う、落ち着けMANUEL。マンマミーヤって10回言えば、MANUELって聞こえてくるじゃないか」
聞こえるわけがない。
OLIVAはわかってはいたがそうでも言わないとその場をしのげそうになかった。
「安心するんだMANUEL。今月きっとお前がついてないだけさ」
「そんな簡単な理由だったらいいんだけど……」
と、再びその時だった。
「なんだSANDRO、ここにいたのか」
何か用事があったらしく、DAVEが色々持ってやってきた。
「ん? おお、DOMINOも一緒なのか」
「DOMINO……ってうおおおおおぉぉぉぉぉぉぉいいいい!!!
お前それはわざと間違えてるだろう!! 性別から何から何まで違うじゃないかぁぁ!!」
「その前に、僕がDOMINOを間違えるわけないしな」
「自分で言うなぁ!!」

------------------(フィクションです)------------------

マンマミーヤ……じゃない、MANUELのデビューミニコント。
(VOL.1とVOL.2は本人は未登場)
何気に新しいパターンで、本人は悪くないのに、回りにさりげなくいじられる、というキャラです(笑)。


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