俺の名前はMANUEL
〜MANUELシリーズ VOL.4〜
<注意>
今作は、A-BEAT-C・MANUELシリーズ第3弾
「DO YOU REMEMBER
ME?」を読んでから閲覧することを
深くオススメ致します。再アップいたしましたのでまだ読まれてない方、
忘れてしまった方はそちらを閲覧してからお読み下さい。
俺の名前(名義)はMANUEL。
EUROBEAT界、3大レーベルの1つと言われているRODGERS
& CONTINI
MUSIC
――通称A-BEAT-Cでシンガーをしている。
決して自分が凄いとか、そんなことを言うつもりはないが、収録数も多く、
それなりの知名度と人気は持っているつもりだ。――今日もこうして、
スタジオに新曲のレコーディングに――
「PUSH!!」
「うおぅっ!?」
いきなり後ろから背中を押された。危なく転びそうになった。一体誰が――
「――って、フェデリコか。急に押したりしたら、危ないじゃないか!」
俺を押してきたのは、A-BEAT-C創立者の1人で、EUROBEAT界で知らない者はいない、
DAVE
RODGERSこと、G.PASQUINIの息子、フェデリコであった。
このクソ餓鬼!!……とは思うのだが、DAVEの息子なのでそんなことは言えない俺は、
一応大人として注意をするに留まった。が――
「だって、パパがA-BEAT-Cでは今LOLITAとNUAGEとMANUELをプッシュしてる、って言うから」
馬鹿だ。こいつは馬鹿だ。そのプッシュはただ押すのとは違う。
「いいかフェデリコ、DAVEが言ってるのはそういう意味じゃなくて――」
「だからね、パパがMANUELを見つけたら背中を思いっきり押してやれ、って。
階段付近でやると効果抜群だって言ってたんだ」
俺の名前(名義)はMANUEL。
A-BEAT-Cでシンガーをしていて、人気も知名度もあるのに、
何故かプロデューサーに階段から落されそうになっている男だ。何故だ。殺す気なのか。
というか親子揃って馬鹿なのかもしれん。
――そんなことを考えながらロビーに入ると、見覚えのある顔を見つけた。
「お早う、ELENA」
彼女の名前はELENA
GOBBI
FRATTINI。俺と同じくA-BEAT-Cに所属するベテランシンガーで、
VIRGINELLE、LOLITAなどのVOCALを担当している。
独特の高音とその声量は確かなもので、人気も高い。
ちょっと過度の心配性なのだが、まあそこまで気にすることでもない。
ただ、俺が彼女のことで気になることと言えば――
「あら、お早うMAD
MAX。あなたも今日レコーディングなの?」
――俺の名前(名義)を、どうもMAD
MAXだと思っているところだ。何故だ。どういう間違いだ。
「――ELENA、何度も説明するけど、僕の名義、MANUELだから。
MAD
MAXはDELTA」
「えっ……やだ私、またMAD
MAXって言ってた?」
俺は、少し不満気に頷いて見せた。
「ごめんなさい、気を抜いていたから、つい!」
両手を合わせて謝罪をしてくるELENA。――どうやら本気で気を抜くと間違えるらしい。
何故そのあたりの感覚を心配しないんだ。他のどうでもいいことは無駄に心配するクセに。
「ところでMANUEL、今度の日曜日って、何か予定あるかしら?」
「日曜日? いいや、特にないけど……何か用事かい?」
「私の友達にね、EUROBEATが大好きな人がいるんだけど、あなたの大ファンなのよ」
「へえ……僕のかい?」
「そう。会ってみてもらえないかしら。どうしても生で聴いてみたいんですって、
TSUNAMI
COMES」
俺の名前(名義)はMANUEL。
A-BEAT-Cでシンガーをしていて、人気も知名度もあるつもりだが、
何故かレーベルメイトに他レーベルのアーティストと間違えられる男だ。
何故MAD
MAXなんだ。どうしてTSUNAMI COMESなんだ。どう聴いてもDELTAの音だろあれは。
というかその友人もELENAのレーベルメイトにMAD
MAXがいる時点でおかしいと思えよ。
――そんなことを考えながら廊下を歩いていると、見覚えのある顔を見つけた。
「お早う、DENISE」
彼女の名前はDENISE
DE
VICENZO。やはりA-BEAT-Cに所属するシンガーで、
主にNUAGE名義で活躍している、A-BEAT-C主力シンガーの1人だ。
歳も近く、話も合う、仲の良いレーベルメイトなのだが――
「あ、お早う、M……マンマミーヤ」
――俺の名前(名義)を、いつも悩んだ挙句「マンマミーヤ」と呼んでくる。最早EUROBEATとは関係のない、
謎の名義だ。俺はスーパーマリオか。
「だから、僕はマンマミーヤじゃないから」
「うーん……わかってるんだけど、どうも出てこないのよね」
間違えていることを認識しているだけ、マシかもしれないと思う自分が情けない。
「M……M……M……MAD
ABOUT YOUだっけ?」
「それ、ACE WARRIORの曲だろ?」
というかどんな名義だよ。
「じゃあ、FIGHT FOR LOVE
TONIGHT!」
じゃあの意味がわからないよ。思いっきりACE WARRIOR意識してるし。
「あれでしょ? 「今夜はNO
CONTROLだぜ」とか彼女に言ってるんじゃないの?」
あ、やっと俺の曲が出てきた……っておい!! そういう使い方かよ!!
「あ、私急いでるんだった! それじゃね、MANUEL……じゃなかった、マンマミーヤ」
俺の名前(名義)はMANUEL。
A-BEAT-Cでシンガーをしていて、人気も知名度もあるつもりだが、
最近はレーベルメイトにMANUELというのが間違いの名義だと勘違いされる男だ。
MANUELで合ってるっての。何故マンマミーヤに訂正する。
――そんなことを考えながらレコーディングルームに到着すると、ちょうど隣の部屋から
DAVEこと、G.PASQUINIが出てきた。
「おっ、これからレコーディングか?」
DAVEは、俺の顔を見ると足を止めて話しかけてきた。
「ああ、まあね」
「そうか……ああ、そういえば今日はMANUELのレコーディングの日だったな」
その台詞を聞いた瞬間、ほっと胸を撫で下ろす自分がいた。
――DAVEは、名前を間違えてこなかった。というかそれが当たり前なんだが。
「今度のMANUELの新曲も中々良い感じだったな。聴いてみるか?」
――? 何か変なニュアンスだな。本人がここにいるのに。
「第3スタジオにいたぞ、MANUELは。相変わらず元気そうだった」
ああ、そりゃよかった……って、
「うおおおぉぉぉぉぃぃぃぃ!! MANUELここにいるだろ!?
お前第3スタジオで何を見てきたんだよ!?」
「MANUELのレコーディングだ。新曲、『THE
FUNDOSHI』っていうらしいな。
SANDROが作詞したのか?」
「するかぁぁぁ!!」
何処からともなく表れたSANDRO
OLIVAが激しくDAVEにツッコミを入れた。
――いつからここにいたんだこの人。
「ああSANDRO、ちょうどいい。君にMANUELに内緒の相談が……」
「人の話を聞けえぇぇ!! というか本人いるのに内緒の相談なんか始めるなよ!!」
俺の名前(名義)はMANUEL。
A-BEAT-Cでシンガーをしていて、人気も知名度もあるつもりだが、
締めのツッコミすらS.OLIVAにもっていかれる男だ……
------------(フィクションです)------------
(哀れな)MANUELシリーズ第4弾。長いです、大作です。
今までの作品の中で1番の長さではないでしょうか。……内容はともかく(爆)。
ちょっと書き方も変えて、いつもの客観的視点ではなく、主人公MANUEL視点で
お送りしていMす。今回のパターンはその方が際立つと思いましたので。