OUT OF SIGHT
〜「DAVE & トーマス」シリーズ VOL.3〜


「……あれ? ELENA?」
数年前の某日、A-BEAT Cのスタジオにて。
新曲のレコーディングだと聞かされていたT.MARINが指定されていた部屋に入ると、
そこには既に同じくレーベルメイトのシンガー・E.GOBBIがいたのだ。
「トーマス? どうしてここに?」
「どうして、って……新曲のレコーディングだけど。DAVEが今日ここで、って」
「私もなんだけど……今日ここで、って」
「ふーん……何だろうな?」
「そうね……もしかしたら、どちらかが会ったのがDAVEの偽者……!?」
「あははっ、面白いことを言うな、ELE――」
MARINの台詞が「NA」を言う前に不意にGOBBIの表情が真剣そのものに変わった。
「大変よトーマス! 早くこの事実を皆に伝えないと!!」
「おいELENA、まさか本気で――」
そんなことを思ってるのかよ、とMARINが思った瞬間、ドアが開いた。
「やあ待たせたね、2人とも――」
「出たな偽者ぉぉぉ!!」
「おおおいぃぃぃ!! ストップ!! 本物に決まってるだろ!?」
呆気に取られているDAVEに襲い掛かろうとしているGOBBIをMARINが紙一重で食い止める。
「え? 本物?」
「当たり前だろ!! というか偽者なんていないよ!!」
「そう、本物なのね……」
やっと納得してくれたのか。――とMARINが思った矢先。
「出たな本物ぉぉぉ!!」
「おいいぃぃぃ!! 本物の何がマズイんだよ!?」
「それじゃDOMINOが偽者なのね!?」
「何処をどうひっくり返したらその答えに達するんだ!? DOMINOも本物だよ!!」
「マズイわ! DOMINOって本物だったの!?」
「だから本物の何がマズイんだよ!! おいDAVE、何とか言ってやってくれ!!」
暴走しているGOBBIを抑えながらチラリとMARINはDAVEの方を見た。
……するとDAVEは何かを考え込んでいる様子。
「――DAVE?」
「ウチのDOMINO……本物だったのか」
「おいいぃぃぃぃぃぃ!!!」

「いや、今日2人同時に来てもらったのは、
トーマスの新曲にELENAにコーラス参加して欲しかったからなんだ」
騒ぎ(?)もひと段落着いたところで、DAVEから説明が入る。
「MR.GROOVE名義の新曲でな。本格的な女性コーラスが欲しかったんだ」
「成る程、それでELENAをか。タイトルは何て言うんだ?」
「「OUT OF SIGHT」さ。今歌詞を渡す。作詞はFRANCOだ」
そう言うと、DAVEはMARINとGOBBIに歌詞が書かれた紙を手渡した。
「で、とりあえずデモを聞いて――っと、すまない。さっきまで居た部屋にデモを置き忘れてきた。
直ぐに取ってくるから、少し待っていてくれ」
そう言うと、DAVEは少し早足で部屋を出て行った。――と、それを待っていたようで、
GOBBIが気持ち小声でMARINに話しかけてきた。
「ねえ……何で私なのかしら?」
「何で、って……DAVEが言ってただろ? 本格的な女性コーラスが欲しかった、って」
「でも、トーマスの楽曲のコーラスは基本、DOMINOだったじゃない」
事実、MARINがメインヴォーカルを勤めている楽曲の女性コーラスにA.GATTIの声はよく聴く。
「もしかしたら、DAVEとDOMINOの仲に何かあったのかしら」
「まさか、あの2人に限ってそれはないだろ」
スタジオでも、MARINはDAVEとDOMINOの仲睦まじい様子をよく見かけていた。
――が、GOBBIはMARINの話もそこそこに、色々考え込んでいた。
「そうなると、この「OUT OF SIGHT」っていう歌詞も怪しく見えてくるわね」
「いや、でも作詞はFRANCOだって言ってただろ」
「わからないわよ。"F.CONTINI"って書いてあるだけだから、もしかしたらNORMAかもしれないし」
「いやそこでNORMAが出てきても結局関係ないだろ……」
「関係あるわよ! NORMAにはALBERTから直接内密な指示が行くし、ALBERTにはDAVEから
直接内密な指示が行くじゃない! それでいてこのタイトル!」
「いや、だからこのタイトルは何も――」
「"OUT OF SIGHT"――見えない、ってことは、暗黙の事実に目を瞑れって意味なのよ!
つまり、DAVEとDOMINOの仲が危ないということに気付いても私達に黙認しろってことなんだわ!」
「深読みし過ぎだよ!!」
「でも結局気付いてしまった私達は消される運命に……ああ、もう駄目だわ!!」
その場でガックリとうなだれるGOBBIを見て、MARINはどうしていいかわからなくなった。
――KIKI、よくこんなの相手にしてられるな。……と思った時だった。
「いや、何度もすまない」
DAVEが苦笑しながら戻ってきた。その瞬間、GOBBIが復活(?)した。
「大変よDAVE! 私達、DOMINOに消される運命にあるの!」
「待てELENA!! また話変わってきてるじゃないか!!
いや、すまんDAVE、これはだな――」
「ハハハ、安心してくれ2人とも。――既にDOMINOには刺客を送ってある」
「おいぃぃぃぃ!! 送るなよ!? というか何通じ合ってるんだ2人!?」
というかレコーディング出来るのかよ、と思ったその時、再びドアが開いた。
「ねえ、さっきから何だか私の名前が聞こえるんだけど、何か用――」
「出たなDOMINOぉぉぉ!!」「出たなDOMINOぉぉぉ!!」「出たなDOMINOぉぉぉ!!」
「ええええええ!? 3人とも何!?」

------------(フィクションです)------------

今回はゲストのGOBBIさんでタメておいて、DAVEが落すというパターン。
更にラストには(爆)。これは過去の時代ならではのやり方。
3人は、それぞれ三者三様の思いで叫んでおります(笑)。


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