そこに聞きたい人がいるから
〜SCPシリーズ VOL.1〜
「お早う、ENNIO」
「ああ、お早う――って、なんだいその格好は」
E.ZANINIが目を疑ったのも無理はない。ロビーのソファに座っていた
M.BIANCHINIは、やり手のキャリアウーマンが着るようなスーツを着ていたのである。
――某日、SCPのスタジオにて。
「決まってるでしょ、私がSCPを代表してインタビューするのよ」
「――はい? 誰に?」
「ちょっと、耳かして!――今ね、あっちのレコーディングルームで、あのDOMINOが
レコーディングしてるの!」
「DOMINO……って、あのA.GATTIがか!? うちで1曲だけやるって聞いてたけど、本当だったのか」
ZANINIは驚いた。確かに今までCHRISTINEが散々いじってきたが、それでも自分とは
まったく縁の無い人だと思っていた。しかしこうして今数メートル先の部屋に彼女はいる。
人生は何が起こるかわからないものである。
「……にしても、大胆な歌よね」
「そう……なのか? 僕は日本語がわからないから、何て歌ってるかちょっと」
「「フクハウチ」っていうタイトルなんですって。でね、「フク」ってのは洋服、って意味で、
「ウチ」ってのは家の中、っていう意味みたい。つまり、外へ出かける時は洋服を脱いで
出かけましょう、っていうことみたい」
「いやそれ、大胆っていうか一歩間違えたらただの変態の歌じゃないか。本当に合ってるのか?」
「合ってるわよ。CHRISTINAがそう言ってたもの」
結局あいつか。――ZANINIはため息をついた。まあ自分も日本語がわからないので
何とも言えないのだが。――ん? CHRISTINA?
「そういえば、今日CHRISTINAは?」
「今日はこれないんですって、仕事の関係で。だから代わりに私がインタビュー」
ZANINIはほっと胸を撫で下ろした。いなくてよかった。とてもじゃないが本人と会わせるなんて
怖くて仕方ない。彼女のことだ、いきなり
「1人身って、どんな気分なんでしょう?」
とか聞き出しかねない。それが避けられただけでも今日はよかった。
「あっ、ちょっと落ち着いたみたい。――じゃ、行ってくる」
スタスタとレコーディングルームへ入っていくBIANCHINI。――興味本位かそれとも何かの不安か、
ZANINIも一緒に後から行ってみることにした。
「あの……すみません」
物腰低く発せられたBIANCHINIの声に、1人の女性が振り向いた。
紛れも無く、DOMINOことA.GATTIであった。
「あら、どちら様かしら?」
「あっ、ごめんなさい! 私、MELISSA
BIANCHINIって言います。SCPで、「MELISSA
WHITE」名義で
歌わせてもらってるんです。それで、その、EUROBEATの世界で色々経験豊富なDOMINOさんに
色々聞いてみたいことがあったんですけど……宜しいでしょうか?」
「ええ、別に構わないわよ。ちょうど休憩中だし」
「本当ですか? ありがとうございます!」
BIANCHINIは嬉しそうにGATTIに対して頭を下げた。――見ていて心が和む風景だった。
「じゃあ早速。えーと、SCPのスタジオはどうでしょうか?」
BIANCHINIの質問に対して、GATTIは丁寧に答えていった。ZANINIは特に気にすることなく
その様子を眺めていたのだが……
「それでは次の質問。――日本の靖国神社問題をどうお考えですか?」
「えっ……ヤスクニジンジャ……?」
「はい。――日本の靖国神社で、日本の総理大臣の人は霊を呼んでお告げを聞くらしいんです。
それで、先日、日本の小泉総理が参拝したところ、ジ――」
「メリッサ、おいメリッサ!」
ZANINIは慌ててBIANCHINIを止めに入った。――何を言い出すのかと思いきや。
「え、何、ENNIO?」
見ると、GATTIも不思議そうな目でこちらを見ている。ここは不自然のないように彼女を止めなければ。
「あ、いや……その質問は、止したほうがいいんじゃないか?」
「――そう? じゃあそうする」
ふーっ、とZANINIはため息をついた。――BIANCHINI自体は悪くないのだが、どうもCHRISTINEに
彼女は変に洗脳というか、教え込まれたことがある。危ないところだ。
「じゃあ次の質問。――次に挙げる数名の人物の名前を聞いて、すぐに連想するものを挙げてください」
――まさか。
「まず1人目。ジャ――」
「おいぃぃぃ待てぇぇぇぇ!! ちょっと来い!」
疑問顔のGATTIをよそに、ZANINIはBIANCHINIを一旦廊下へ連れ出した。
「ちょっと、どうしたのよ、ENNIO!?」
「どうしたもこうしたもない! 今君1人目の名前で、「ジャンカルロ=パスキーニ」って言おうとしてたろ!?
そんなこと彼女に聞いたらどんなことになるか!!」
「違うわ」
「――えっ?」
「私、1人目は「ジャン=アレジ」って聞こうとしたんだけど」
「――ジャン=アレジ?」
紛らわしい。
「というか、ジャン=アレジに関してをGATTIに聞いて一体どうするつもりだ!?」
「「ジャン」って言った時点でどんな反応をするか見ておいて、ってCHRISTINAが」
「結局そういう路線なんじゃないか!!」
しかもまたしてもあの女か。
「とにかく、それは紛らわしいから駄目だ! 第一、数名ってことは後のもろくな人の名前じゃないんだろ!?」
「えーとねえ、2人目は、ジャン=カルロッタ」
「いや誰だよそれ!? 間違いなくG.PASQUINIを連想させるだけの為に聞く名前じゃないか!!」
「それは多分違うと思うわ。だって4人目にそのG.PASQUINI本人の名前があるもの」
「聞くつもりだったのかよ!? とにかく、人物連想の質問は止めておけ!」
「うーん……わかったわ、そうする」
2人は再び部屋の中へ戻った。――GATTIが疑問顔でこちらを見ている。
「どうかしたのかしら?」
「あ、いえ、何でもないんですよ、ハハハハ。――メリッサ、あまり時間を取らせるなよ」
「ええ、そうね。――では最後の質問。今日はあいにくの曇りですが、お天気はどんな天気がお好きですか?」
「天気?」
「ええ。ズバリ、晴れと曇りだったらどちらがお好きでしょう?」
「それは晴れの方が好きよ。――でも、それがどうかしたの?」
「いえ、いいんです。――どうもありがとうございました!」
スタスタと部屋を後にするBIANCHINI。ZANINIは急いで後を追った。
「おい、最後の質問は何の意味があったんだ?」
「ああ、あれ? どうしてもCHRISTINAが聞いてくれって言うの。
――NUAGEって、フランス語で雲って意味が」
「結局そういうことかぁぁぁぁ!!」
「やっぱり嫌いみたいね、彼女」
「いや誘導尋問だからこれ!!」
------------(フィクションです)------------
行きがかり上、ミニコントにDOMINOさんが初登場した作品。
SCPでDOMINOさんが1曲やる、と聞いた時から当時は書こうと決めていた作品でした。
色々中身が変なのはその当時の噂とか情景とかが描写されているからです、ご了承あれ。
また、今作品でSCP関連で初、CHRISTINEが未登場となった作品でした。
これも当時の私曰く、「CHRISTINEにしてしまうと筆者の私でも歯止めが効かなくなるから」
だそうです。結局よくわからん方向には流れてますが(笑)。
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